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第1回研究会の報告

2015年10月24日(土)

テーマ: 今後の課題設定について

第一回の研究会は今後の14回にわたるワークショップの課題設定について参加者を4つのグループに分けて議論していただきました。事前にたたき台を作った超高齢社会の主要な4つのテーマ(①雇用、労働及びワークライフバランス、②情報、広報及び経営戦略、③保健サービス、④住宅、交通、レジャー、オープンスペース等のインフラ整備、のなかで、さらに議論を詰めるべき課題について、グループ毎に意見を出していただきました。事前に発起人グループで作成していた課題よりも、さらに多くの多様な課題が挙げられ、参加メンバーの意識の高さが際立ったワークショップとなりました。特に関心が高かったのが、地域に立地する福祉関連施設やサービスのバラバラな「点」による高齢者のサポートではなく、広く地域全体で高齢社会を支える仕組みが重要であるとの認識から、情報の共有、発信、地域のネットワーク作りが議論されました。また、その情報周知のための広報戦略や相談・カウンセリング体制の整備等にくわえて、これまで見過ごされがちであった相続の相談窓口やエンディング・サービスのコンサルティングについても、今後利用が奨励されるべきとの意見が出されました。

 

また、既存の介護保険制度サービスだけでは高齢社会を支えることは難しいとの認識も強く、介護保険制度外サービスの利用の促進、ITを利用した新しいコミュニティ・サポートの手法の開発、地域コミュニュテイとの関係づくり、福祉施設や要介護者の家族の情報収集ならびに行政・医療サービスとの連携も議論されました。また、介護福祉関連サービスの経営効率を高めるための施設同士の共同経営や異業種とのビジネスミックス、経営改革等のマネジメントの課題、そして、免疫力が弱い高齢者の増加に付随する感染症対策も議題に上がっています。

 

今後、改善が求められる超高齢社会のインフラ整備として、高齢者の施設入居や死亡によって生じる空き家の有効利用や住み替えの促進、高齢者の移動サポートを支える仕組み、そして高齢者にも使いやすいレクリエーション施設や制度の充実も意見が述べられました。

 

労働・雇用に関しては、不足しがちな介護スタッフを支えるための外国人の雇用促進や介護離職を予防するためのワークライフバランスの奨励、出産で離職する介護スタッフをサポートするための産休制度の充実に関しても提案がなされました。

 

これらの議論を経て、SIAS研究会は超高齢社会の問題とその原因の洗い出しの後、現状打破のための戦略の策定に注力すべきであるとの結論に達しました。特に「高齢者を支える地域づくり」を研究会の中心議題とし、今後どのような解決策を生み出せるか、議論を進めていくことになりました。会員相互の活発な交流を図り、研究会で挙げられた様々なアイディアを検証し、それらを複数のイノベーションにまで昇華できるように、私たちは新たなプロジェクトを立ち上げ、動き始めています。


チームAの意見

中分類の優先度付けでは、ビジネスとして取り組むとしたら、どれが最も取り組みや すいかという視点で行った。カウンセリングの優先度が高く、家族向け、地域向け、施設向けと3種類の中分類があり、それぞれに難易度が違うという議論があった。なかでも施設向け、家族向けについては、比較的易しく、地域向けは難易度が高いという結論となった。情報発信については、介護保険等の情報が市民にとってはとにかくわかりづらいため、わかりやすい情報として発信すべきという意見があった。これは、ビジネスとしても取り組みやすいため、優先度の2番目となった。また、人材確保等については、影響度は高いが、難易度も高いため、ビジネスとして簡単に取り組めないという結論となり、優先度は低くなった。
(所感)ビジネスとして取り組むという視点での優先度付けはSIAS研究会の本旨でもあり、とても参考になる優先度付けになったと思われる。人材の中分類が、「人材雇用」の大分類だけでなく、「情報」の大分類にも作られたのが、興味深かった。「情報」の大分類における人材は主にボランティア等に関することだった。

 


チームBの意見

総括的な優先順位としては、人材、教育、マネジメントの順となり、いずれも単に施設だけで解決すべきものではなく、地域包括のコミュニティの取り組みに集約されることに行きつきました。

*人材について、スタッフの定着率の向上、挨拶等の接遇、尊厳、外国人スタッフの活用等のさらに4つのテーマがあげられました。
*教育も技術や知識習得だけでなく、意識やモチベーションの向上も重要と認識し、スタッフのみならず、マネジメントする側の意識や能力の向上も重要課題であると議論しました。
*空間については、施設入居後の空家対策の議論がありましたが、当面の課題として、人材、教育等のほうが緊急度が高いという議論の流れでした。


介護事業を展開している法人様からのご意見の紹介

「自助」「互助」の仕組みを地域単位で形作る必要がありますが、そのベースになるのは「教育」であると思っています。生涯学習として少子高齢社会を乗り切るために学びなおさねばならないと思っています。
 
1つの学びは「自助」で「健康増進」と考えます。
健康に対する知識、運動習慣の定着、「老い」や「介護」に対する認識、を学ぶ機会が必要です。
地域での市民講座はもちろんですが、産業保健レベルで健康増進のための取り組みを明確に導入する必要があります。
 
2つ目の学びは「互助」で「ご近所への意識を高めること」です。その入口は「介護」であると思います。
困っている人に手を差し伸べる感性は「介護」の経験を通じて学ぶことになります。よって「介護職員初任者研修(ヘルパー)」で介護に携わることの出来る人材を多数養成し、特に60代の元気な女性に地域で活躍してもらうことが必要であると思っています。
 
「互助」に関しては互助につながる仕組みづくりで「地域通貨」等のポイントを活用することが必要と思います。その上でもITを活用することが重要であり、タブレット端末を使用することの出来る「スマートシニア」を育成していくことが必要と考えています。

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