急速に進むわが国の高齢化はそれを支える国、地方自治体、高齢者及びその家族にとって大きな負担を強いるようになってきています。このような人口構造の大きな変化は、わが国におけるこれまでの行政及びビジネスのあり方に変革を迫るようになってきました。

介護保険制度の導入や地域包括支援センターの設立など、政策イノベーションによる高齢者福祉改革の新たな仕組みはスタートしましたが、公的な財源だけによる高度な福祉サービスの提供は限界を迎えつつあります。また近年のボランティアや非営利団体による様々な社会サービスの供給は望ましいことではありますが、持続可能性という点で問題があります。

ここで問われるのが、超高齢社会におけるビジネスの役割、とりわけイノベーションを産み出す人的資質を備えた起業家ならびに先進的企業の役割です。起業家ならびに革新者たちの新たな視点から、現在の福祉及び関連サービスを検証することにより、現状の福祉サービスの効率化や経営改善を図ることが期待されます。また、起業家と先進的企業のイノベーションによる高齢者福祉を軸としたニュービジネスの創出は高齢化により疲弊した地域経済を活性化させる起爆剤となり得る可能性を持っています。本研究会では、福祉サービスの運営及びそれに係わるソーシャル・イノベーションに関心のある様々な関係者を集め、成熟社会の新しい未来を構築するためのプラットフォームを提供することを目的としています。